とりあえずスピット

雷電の続きか航フ記事の補足を書こうかと思ったのですが、とりあえずスピットファイアの話をしてみます。
さて、ここ1年位は、スピットの本を数冊読んでいます。この戦闘機について色々と分かるに従って、スピットは第二次大戦全期間を通じて最も成功した戦闘機だったとの思いが強くなりました。Me109と比べると、かなり開発、発展の経緯が違う戦闘機です。
それに加えてスピットを理解すると零戦が見えてくるというのも、思わぬ成果でした。スピットと日本機をくらべるとなぜそうなったのかという面が相互に見えてきます。
たとえば、両機とも最初からエンジン強化タイプ、高高度タイプが計画され、そのスケジュールに則り開発されています。つまり零戦もスピットも同じ方向で発展型が計画されており、零戦は当時の戦闘機の開発方針の本流にのって開発されているということです。零戦は発展性がなかったといわれますが、初めからきちんと開発方向を定められ発展性を考えられた戦闘機です。もっとも排気タービンで挫折していますが。
ところでスピットの話にもどると、代表的な型式であるMk.IXは42年に登場し45年まで製造されます。この理由は、ドイツ機に対してはMk.IXの性能で十分に事が足りたという点が一番大きく、加えてMk.XIVと同等の空戦能力と評価されたP-51があるため、Mk.XIVに切り替える必要が無かったということがあります。同等の性能ならP-51でなくMk.XIVでもという見方もあるかもしれませんが、Mk.XIVは航続力に問題があり、英空軍でさえ増槽を付けなければ実質航続力は無いという厳しい評価をしています。
さて、Mk.IXですがMk.XIVと燃料搭載量はほぼ同じでも、マーリンの燃料消費量がグリフォンより少ないため、航続力は当然ながらMk.XIVより優れています。そしてこの航続力は、主翼と胴体後部に燃料タンクを増設してMk.Vや初期のMk.IXより増大しているものです。この頃の欧州戦では、連合軍側戦闘機にとって航続力が極めて重要な能力でした。
そして、この航続力がMk.IXがずっと造られ続けた理由の一つである訳です。速度、上昇力で圧倒するMk.XIVでも、目の前で必要とされる行動範囲を満たせないとなれば、兵器としての価値はMk.IXを完全に超えるものではないということなのでしょう。
このあたりも零戦とダブって見える部分です。航続力というのは、実はかなり重要な能力で、これがどのように戦闘機の開発、発展に影響するのかが良く見えるのもスピットと零戦です。

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この記事へのコメント

KenG
2011年12月11日 23:47
うそを書いてしましました。
Mk.XIVは燃料タンクを増設し、Mk.IXより燃料の搭載量が増え、Mk.IXと同等の最大1500km程度の航続力をもっています。
となるとMk.IXの航続力がMk.IXの生産続行の理由というのは、ちょっと違いますね。
ただし、航続力が非常に重視されていたという点は確かです。
ふG
2011年12月23日 09:11
スピットのことは全然知りませんが、次善のエンジン付きの量産が続けられたということは、数をかせぐためではないでしょうか。
航続距離が重要というのは、特に海軍ではそうだったのでしょうね。
金星零戦が大事な時期に流れ続けた背景に、航続距離減少に対する踏ん切りがつかなかったこともきっとあるに違いありませんし、もし金星付が比島戦や沖縄戦に間に合っていたら、困る場面もあったように思います。
ふG
2011年12月23日 09:21
> 次善のエンジン付きの量産が続けられた
コストかもですね。
KenG
2012年01月06日 00:54
遅くなりました。今年もよろしくお願いします。
数を稼ぐというのは、多分一番の理由だと思います。
スパーマリン社が新型の機体に切り替えのためにMk.IXの生産を終了した後で、Mk.IXを大量に製造したのは、ビッカース社の工場です。量産の切り替えで生産数が落ちるのを嫌った面は、確かにあるはずです。
この辺りも零戦における三菱と中島の関係に似ています。
新型投入を早くすべきだったとか言いますが、英国、ドイツ、日本の製造から見ていくとそんなに簡単なものではないというのが、良く分かりますね。
米国はたまたま新型機がタイムリーに登場したので、この辺りの事情が見えていないだけの様です。

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