TAICテストその5

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さてまたしても続きです。本文2ページ目の一番下からです。この辺りから更に興味深くなってきます。張り付けたのは本文3ページ目です。
失速と失速の前兆:
この航空機はクリーンかつダーティーに失速し、失速特性は失速に入る前兆が無いことを除けば優秀である。機首の落ち方は真っ直ぐでも、どちらかの主翼側にでも緩やかなもので、回復は非常に速く、高度もほとんど失われない。スピンに入る傾向はない。オイルとエンジンカウルのフラップによる、失速速度に対する目に見えた影響はない。完備の状態から燃料が1/3少ない場合の失速速度は
(1)クリーン 100マイル
(2)脚を下した状態 102マイル
(3)フラップを使用 88マイル
(4)脚を下しフラップを使用 88マイル

運動性能と特殊飛行:
補助翼は運用速度域で重くP-51 の様な速さでのロールは出来ないが、ロールとインメルマンターンは通常の速度において容易におこなえる。補助翼は、325マイルで非常に重い。空戦フラップが装備されている。フラップはファウラータイプで16度の空戦フラップは、操縦桿に付いている安全装置とトリガースイッチにより操作される。フラップはトリガーが引かれた時だけ開き、トリガーが離されると直ぐに引き込む。この空戦フラップの動作方法は、当方のどの航空機よりも優れている。フラップは320マイルまで使用される。昇降舵は、通常速度と高速に置いて軽すぎると思われ、雷電は乱暴な昇降舵の操作で容易に損傷してしまうように感じられる。


脚、フラップ、その他の動作に伴うトリム変化:
フラップと脚の操作に伴うトリムの変化は、正しい方向でかつ小さく、容易に調整できるものである。オイルとカウルのフラップ操作に伴うトリム変化は、無視できる範囲である。

雷電、やっぱり優秀みたいです。しかし、日本で問題になりそうなところもちらちらと見えます。失速の兆候が無いというのは、零戦に慣れた搭乗員には嫌われたのではないかと感じます。また、着陸時の事故原因の一つかも知れません。
次は、騒音などがま続きます。

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この記事へのコメント

KenG
2011年05月18日 23:26
昇降舵の軽さについての損傷という部分が分かりにくいと思いますが、これは高速域で各舵が効きすぎると機体が損傷する様な荷重がかかることを意味しています。
このため当時の航空機では意識的に各舵が危険領域に入る前に重くなる設計をしていたものもあるようです。
たとえばスピットファイアは極初期型の頃に高速で補助翼が重くなる傾向がありましたが、戦闘で問題になる前には逆に危険な機動を防ぐのに良いと考えられていました。
日本機で補助翼が重くなるのは、このような設計思想も関係しているのかと最近は考えています。
ふG
2011年05月21日 10:45
零戦と同じ調子で速度を落とし過ぎると突然ストンとくるわけですね。なるほど失速の前兆がないのは危なそうです。
昇降舵は軽くてもその分効き易さを落としているのではと想像してます。他社より小さい補助翼は堀越さんがどこかで自慢してましたので、過負荷にならないように、普通は高速で重くするところを、軽くて大舵角が取れてしまっても負荷が大きくなりすぎない工夫があったんじゃないかと思っておりました。
補助翼が重いのは、過負荷を防ぐためというより、中低速での「抜群の効き」を優先した結果だと思います。想定する空戦速度が欧米機より遙かに低かったんだと。なので小福田さんの2号戦レポートの高速ロールを重視すべきということに通じるのかなぁと。
疾風の昇降舵がやたらに重かったことは複数の回想にありますが、これは過負荷防止の意図があったと読んだ記憶があります。
KenG
2011年05月21日 23:27
赤松中尉が失速するから速度を落とすなと、注意していたのはこういうことなのかなぁと感じます。事前にワーニングがあると思って速度を落としていくと、突然失速するんでしょうね。でも、これが着陸時の事故の原因の一つであれば、教育で克服できた問題です。
昇降舵は、そうかも知れませんね。このレポートにも小さいのでなかなか尾部が上がらないと書いてあるくらいですから、軽いけれどそれほど効かないというのはありそうです。
補助翼は、基本的にはそうなのだと思います。ただちょっと気になるのは、以前にKさんから「雷電は翼型を変えたら補助翼が軽くなりすぎる位になった」という話を聞いていることなのです。この軽すぎるという表現になる背景には、深読みですが運動性で中低速重視のセッティングに加え、過負荷防止もあるのではないかなぁと想像しています。
F6Fは高速でも補助翼は重すぎることはなかった様ですが、高速域ではある荷重以上の操作は行わないようにマニュアルに書いてあります。
補助翼を動くようにしてパイロットに制御させるのと、高速では重くなって過負荷がかかる機動が行えないようにし機体側で制御するのとでは、どちらを選択するか悩みそうです。
ふG
2011年05月22日 00:16
飛行機の操縦なんて下ことはありませんので想像なんですけど、「軽すぎる」というのは、クルマのおばちゃん用セッティングのぷにゃぷにゃなパワステを連想しました。しっかり握っておけばちゃんと真直ぐ走るんだけど、センターフィールや、舵を切ったときの手応えが乏しいと、運転しにくく感じるアレです。
設計する立場としては、安全問題を使い手の自制にたよるのはマズいんじゃないかと思うので、雷電の補助翼が重いことで過負荷防止になっていたとしても、米人なら気にする重さを問題視していないのだから、そういう飛び方は想定外なのかなぁと思った次第です。開発した人に聞いてみたいですね。^^)
mo
2017年11月09日 00:32
この報告書では昇降舵だけに難アリとしていて、他の舵については日本機ふう(?)だのと評価をしてますね。
一方で日本の側ではこうした評価は珍しい、というか聞いたことありません。日本側ではテスパイは「局戦として」高評価し、実戦部隊のパイロットは「零戦に比べて」低評価する傾向があります。しかしそのどちらにおいても昇降舵だけ特性が変だなどという評伝は見たことがありません。
この機体は修復の際に尾翼の舵全てが取り外されている写真があり、その他の写真を見ても修復はかなり大がかりなものだったことが確認できます。
ということは修復の際に昇降舵のワイヤーが(剛性低下方式を知らない)米側スタッフによって「ジャップはやたらほっそいワイヤー使ってんな、危ないから丈夫なヤツに交換しといたぜ!」という顛末だった可能性もあるような?そうだとすると高速時には「効きすぎ」のセッティングになってしまうはずです。
また逆に日本仕様のままだったとすると剛性低下方式を知らないテスパイが「このエレベーター変だよ!」となってしまったのかも知れません。

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